Story

幼少期、
私は重度の食物アレルギーでした。
食べられない物は、肉全般、卵、米、蕎麦、鮪、乳製品、砂糖など、普通の人からしたら何食べて生きてるの?というレベルのものです。
両親の懸命な食事療法のおかげで、現在は上記の食品も食べられる身体になりましたが、食材の品質や添加物などには今でも気を使っています。

そんな幼少期に好んで食べていた食材の一つが、サツマイモです。今思えば、砂糖が食べられないので、天然で甘い食べ物といったらサツマイモしかなかったのかもしれません。
この話をした数日後に妻が焼き芋を作ってくれたのです。大人になって久しぶりに食べた焼き芋は、とても美味しいものでした。
こんなに甘い焼き芋どうやって作ったのと聞くと、炊飯器で炊いただけとのこと。それだけの調理しかしていないのに、明らかに子供の頃に食べていた焼き芋とは違いました。
すぐに調べてみると、品種改良が進み、サツマイモ自体が昔に比べ断然甘くなっていることが分かりました。
オーブンで焼き芋を作ってみると、さらに甘いではないですか。この頃から、夫婦で焼き芋屋を周るようになりました。
そこで出会ったのが壺焼き芋です。

衝撃的な食感でした。
しっとり滑らかな舌触りで、もちろん甘い!
焼き芋というとホクホクして美味しいと表現することも多いですが、それは昔。
冷やしても美味しい焼き芋は、私達が知らない間にスイーツになっていました。
これで、砂糖不使用というのだから驚きです。甘い物が好きだけど、砂糖の摂り過ぎは気をつけたい。そんな私たち夫婦にはピッタリの食べ物に出会うことができました。

こんな良い物を私達だけが楽しんで終わらせてはいけない。私の幼少期のような食物アレルギーを持つ人や、今の私たちのようなダイエットや健康のために砂糖を控えたいけど、甘い物を食べたい人、意外と多いんじゃないか。そんな人達に、こんな良い物あるよと伝えたい。そう思った翌週には岐阜の壺焼き芋屋に弟子入りしたいと連絡をしていました。
快く受け入れてもらい、夫婦揃って弟子入りです。ユーモアの中にも厳しさのある最高の師匠のもとで、壺と向き合います。火加減が全てと言っても過言ではないほど、火の扱いが重要。気付いたら火が消えていて、最初からやり直しなんて事もありました。火が強すぎても皮が焦げてしまいます。
火を見て、壺を触って、音を聞いて、東京に戻ってからも自分たちで何度も練習を重ねました。そしてようやく完成しました。

昔の自分にも、今の自分の家族にも本気でオススメできる、身体に良くて美味しいもの
それが、私たちの壺焼き芋です。



岐阜の修行先(幸神)